音楽におけるロックシーンを語る上で、ブラックTシャツをはずすことはできません。 1950年頃、エルビスプレスリーはジャケットを脱ぎ、Tシャツで唄いました。それまでのミュージシャンが来ていた正装を脱ぎ捨てたときです。 ビートルズも、初期の頃はリバプールのクラブで黒いレザーとTシャツで演奏していました。 60年代の終わりにTシャツは大西洋を越え、黒い柄に骸骨やクロスボーンなどの刺激的な柄が描かれたTシャツは、ロックバンドのシンボルとなっていきました。 アメリカの西海岸から誕生したロックコンサートのほとんどをプロデュースしていたビル・グラハムは、「黒はロックの色だ。最初に黒を使ったのはわれわれだ」と言ったそうです。
そうしたミュージックシーンでのハードロックの広がりは、Tシャツの商業価値を拡大させていきました。 セックス・ピストルズの伝説的なベーシスト、シド・ヴィシャスが当時着用していた「Anarchy」の文字が入った歴史的なTシャツは6000ドルの値がつきました。 1980年代には、メッセージの書かれたTシャツが、アルバム自体のセールスを上回る勢いを見せました。 小さなプリントショップからはじまったこのビジネスは、やがて産業へと進化し、Tシャツの売上げで年間1000万ドルを超えていきました。 1995年のローリングストーンズのツアー(450万人の動員を果たした)では、グッズの販売総額は7000万ドルに昇り、そのうちTシャツの売り上げが75%を占めたそうです。
